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クレジットカードの仕組み【基本を解説】
このページでは、クレジットカードの基本的な仕組みについてご紹介します。仕組みのことなど全く知らなくても利用できるのがクレジットカードの良いところではありますが、仕組み・構造を知っておいて損はありません。
これからクレジット業界の事を知りたいという方や、仕組みを知らないままなんとなく使っていたという方は、是非お読みいただければと思います。
クレジットカードの概要
そもそものクレジットカードのおおよその機能自体は、どんなものであるかご存じの方が多いと思います。
改めて書くとクレジットカードとは、発行会社が審査を行い、信用をおける人にだけ発行するプラスチックカードです。このカードには複数の機能があります。ここでは代表的な、ショッピング機能とキャッシング機能について触れておきましょう。
1.ショッピング機能(利用代金の後払い)
最も代表的な機能は、ショッピング利用時の、利用代金の後払いです。
利用時には現金は不要。例えば店頭で使う場合、その場ではカードだけ出します。その後店員さんに促されるまま、サインをするか、暗証番号を入力する。これだけでショッピングの決済を完了することが可能です。
その際、一括払いや、分割払いなどの支払方法を指定することができます。加盟店により選択肢は異なりますが、カード利用可能な店舗において、必ずできるのは一括払い(一回払い)です。
この利用代金は、後日クレジットカード発行会社から請求されます。多くのケースでは、約1〜2ヶ月後に口座から自動引落としになることで支払います。その場で現金が無くても決済ができるため、非常に便利ですね。
もちろん、無尽蔵に決済できる魔法のカードというわけではなく、利用できるのはあらかじめ設定されたショッピング利用枠の範囲まで。支払が済めばこの枠はその分回復する具合です。
利用枠の範囲はピンキリですが、一般カードであれば10万円から100万円までというのがよくある設定額です。上位カードでは500万円以上の決済が可能なこともあるんですよ。
イメージとしては、利用者の信用を担保に見立て、カード会社が立て替えてくれるような感じですね。利用枠の過多は、どれだけ信用が与えられるかの証明でもあります。
なので信用を得られない人=利用枠を与えられない人は、クレジットカードの入会審査に通らないこともあるのです。
2.キャッシング機能(現金の借り入れ&引き出し)
キャッシングとは、お金を引き出す機能です。キャッシングの利用枠が設定されていれば、クレジットカードをATM等に挿入することで、即座に現金を引き出すことが可能です。
もちろん無料でとはいかず取り扱い手数料はかかりますが、急に現金が必要になった際は非常に便利。場合によっては早めに返却することで、銀行キャッシュカードのATM時間外手数料よりも安価に現金を引き出せることもあります。
キャッシング利用枠は人によって異なり、0(無し)から50万円までに設定されることが一般的です。というのも現在の法令により、50万円を超える金額は収入証明なども必要になるからです。自発的にそういった書類を提出していない=0〜50万に設定されるという訳ですね。
一昔前はショッピング枠よりもキャッシング枠の方が大きく、ぽんと50万を超える金額でカードが発行されることもありましたが、現在ではショッピング枠の方が大きいことが普通です。
ちなみに、入会申込時にキャッシング利用限度額の希望が出せることがほとんど。発行後にデスクへ連絡することで0にすることも可能なので、この機能が要らない人も安心です。
仕組みが分からなくても使える!……でも。
店頭でのショッピングは店員さんにカードを出してサインor暗証番号を利用するだけ。ネットショッピングならカードに関する情報を入力するだけ。キャッシングはATMにカードを入れて、画面の指示に従うだけ。
最初にも述べたとおり、利用するだけであれば、それ以上のことは知らなくても簡単にクレジットカードを利用できます。
例えるなら、車の内部の仕組みを知らなくても、アクセスを踏んでハンドルを回せば、運転ができるのと同じ事ですね。私たち利用者は、車がどう動いているのか、内部を知る必要は全くありません。
しかしそれ以上のことを知ることで、様々なことが見えてきます。その複雑さと魅力に、クレジットカードにはまってしまう人も結構いるんですよ。私もそんな内の一人です(笑)。
前置きはここまでにして、さらに詳しく見ていきましょう。
どうやってクレジットカードは成り立っているの?
この説明をするためには、会員、加盟店、クレジットカード会社という用語と、その関係性を理解する必要があります。それでは早速、一つずつ順番に見ていきましょう。
会員
クレジットカード会社は、一般消費者からの「カードを発行してください!」という申し込みを受けると、入会審査を行います。その審査に通過した、いわば認めた人のみに、自社のクレジットカードを使用する権利を付与します。この「認めた人」が、その認めた側のクレジットカード会社から見た会員です。
簡単に言えば、「私たちクレジットカード利用者」の事ですね。
ちなみに、会員にするための審査基準は各社様々です。年収うん百万・年齢○歳・勤続○年以上などと審査基準が厳しい会社(カード)もあれば、安定収入さえあれば問題無くOKな、非常に甘い会社もあります。ただ、そういったおおよその厳しさ(甘さ)は分かっても、入会審査の詳細は、門外不出のブラックボックスです。
例え審査に落ちてしまっても、その理由は基本的に教えてくれません。
加盟店
加盟店とは、クレジットカード会社と加盟店契約をしているお店の事です。英語でmerchant(マーチャント)とも呼ばれています。
簡単に表現すれば、「クレジットカードが使えるお店」と考えれば分かりやすいでしょう。
クレジットカード会社
これはそのままですが、クレジットカード会社のことです。略してカード会社・クレジット会社とも表現されます。クレジットカード会社には2つの大きな仕事があり、その仕事の役割や業務の提供先によって、さらに呼び方が異なります。
まず1つめは、会員から見たクレジットカード発行会社が「イシュア」。イシュアは、発行会社として、会員に対しての各種クレジット業務を行います。
2つめは、加盟店から見た、自身と加盟店契約をしているクレジットカード会社は「アクワイアラ」と言います。アクワイアラは、加盟店に対してのクレジット業務を行います。
この2つの仕事、「イシュア」「アクワイアラ」について、もう少し詳しく説明しますね。
1.イシュア(会員に対してのクレジット業務)
「会員」からみて、クレジットカードを発行しているカード会社がイシュア(伸ばしてイシュアーとも)。英語でissuer=発行人という意味を持つ言葉のとおり、カード発行会社を意味します。イシュアの会社名は、カード券面裏側に必ず明記してあります。
間違えやすいのは、券面表にあるVISA(ビザ),Mastercard(マスターカード),JCB(ジェーシービー)等の国際ブランドについて。これらは決済性を高めるためについているだけで、イシュア、つまり発行会社とは別と考えてください。あくまで券面裏側に電話番号と共に記載してある会社名が、イシュア(クレジットカード発行会社)です。
ジェーシービーやアメリカン・エキスプレス社等、国際ブランドとして展開しながら、イシュアとして自社でクレジットカードを発行しているケースもあります。
例えば株式会社ジェーシービーが発行する、国際ブランドJCBがついたクレジットカード。この場合、イシュア→株式会社ジェーシービー、国際ブランド→JCBという紛らわしい形になります。
こういった場合でも、イシュアと国際ブランドは分けてお考えください。当サイト内では、イシュアとして明示的に表現するときは、できるだけ会社名を書いています。
カード裏面のイシュアの表示位置は、特に決まっている訳ではありませんが、大体は右図のように、券面の下の方に会社名が記載してあります。
※提携カードの中には、二社以上の会社名が記載してあるものもあります。その場合、どちらかがイシュアです。
2.アクワイアラ(加盟店に対してのクレジット業務)
先ほどご紹介した「加盟店」からみて、加盟店とクレジットの利用契約をしているのがアクワイアラ(acquirer、伸ばしてアクワイアラーとも)です。アクワイアラは表に出てきづらいので初耳の方もいると思います。この業務により、加盟店の開拓を行い、その結果、手数料を得ることができるのです。
イシュアとアクワイアラは最初は理解しづらいので、まとめます。
私たちが特定の店舗でクレジットカードを使ったとしましょう。イシュアはそのカードの発行会社。アクワイアラは、その店舗が契約しているクレジットカード会社、となるわけですね。
この際のイシュアとアクワイアラは、別々であることも多いですが、同一のケースもあります。
関係図
それぞれの関係を図に表したものです。この図は、イシュアとアクワイアラが同一であるケースであり、一般の方にとって最もイメージが分かりやすい図です。
上記図をご覧いただければ分かると思いますが、要は立替払いの仕組みです。会員は、手持ちのお金が無くともクレジットカードで支払いをする事ができ、加盟店は後日、その金額をカード会社に請求します。そしてカード会社は、指定の日時に支払うよう、改めて会員に請求&回収するのです。
クレジットカード会社は、会員に信用を与え、リスクをとって立替払いをしています。ですから、支払いに延滞が発生すると信用が低下し、強制解約や利用制限をされる場合もあります。こんな事にならない様、支払いの延滞には気をつけましょう。
カード会社はどこから利益を得ているの?
クレジットカード会社の利益は、大きく分けると、「加盟店からの手数料収入」、「会員からのキャッシング・カードローン等の手数料収入」、「広告収入」、「年会費収入」等が挙げられます。一つずつ見ていきましょう。
加盟店からの手数料収入
カード会社は、無料で加盟店にクレジットカード決済できるようにしているわけではありません。
会員がクレジットカードで買い物をした分の数パーセント(一般的には3%〜7%程度)を手数料として、イシュアとアクワイアラで分配して受け取っています。
手数料のパーセンテージの割合は一律ではなく、当初の契約の際に取り決められます。スーパーなどの利益率の低い業種では低く、対して利益率の高い業種、例えばエステなどのサービス業では、比較的高いことが多いようです。
また、国際ブランドによっても手数料のパーセンテージが異なる場合があります。例えばVISA、Mastercardは3%でも、JCBやAmexは5%といったような具合です。
基本的にはVISA、Mastercardは手数料が低率ですが、JCB・Amex・Diners Clubは多少高率です。特に海外では、手数料が高いAmexを出したら「VISAは持ってないか?そっちで払ってくれないか?」等と言われる事もあるようです。ここ日本では考えられませんね(^^;)
普段私たちは手数料の事など意識せずにクレジットカードを使っていますが、裏側では、加盟店にはこのような負担があったんですね。実はこの分を会員に負担させてしまうと、日本では加盟店規約違反になってしまうからこそ、私たちが意識することなくカードが使えているという事情があります。ただ、外国においては、国によって手数料分を一般消費者に負担させることを認めている場合もありますのでご注意ください。
本ページで後述しますが、加盟店はこの負担分よりも、さらに大きなメリットを見込める事があります。まれにメリットが感じにくい業種もありますが、基本的にはデメリットを上回るメリットがあるからこそ、クレジットカード決済をできるようにしているのです。
キャッシング、カードローン、リボ、分割の手数料
実はこれらの手数料が、かなり大きな利益をもたらすと言われます。現在カードをお持ちの方は、クレジットカード会社から、「リボ払いをすると○○ポイントプレゼント!」や「今ならカードローンがキャンペーン中!」などといった「お金借りてダイレクトメール」(笑)が届きませんか?これも悪く言うと、餌をまいて手数料収入が見込める支払い方法・サービスの利用客を増やしたいからに他なりません。
総量規制が行われたために今は考えづらいですが、一時期は、ショッピング利用可能枠よりもカードローンやキャッシングの利用枠の方が大きくなっているカード会社も存在したほど。あまりうれしくないと思う人も多かったと思いますけれどね。
ちなみに、そのような不要な枠がある場合は、カード裏面のサポートデスクに電話をすれば、限度額を下げてもらう事が可能です。ただ、下げるのは簡単でも、また上げたいという時はそう簡単ではありませんのでご注意を。上げるときには、必ず審査があるからです。
広告収入
自社会員にDM(ダイレクトメール)等で、広告主が提供するサービスを紹介することで、収入としています。よくあるものとして、保険の契約や、雑誌の定期購読を目にしますね。その他にも、クローズドセールの招待(←そこで買って欲しい)、ワイン、チーズ、フルーツ、エステ割引券、お取り寄せ、その他各種優待券、各種頒布会など、多種多様な広告があります(^^;)
広告主としては、会員の条件をフィルタリング(例えば、年齢・性別・年収・職業・住所など)し、ターゲットを絞ってDMをばらまいて訴求できるため、より効果を高めることができます。仕事上の特権で、実際にとあるクレジットカード会社が制作した、広告出向者向けの媒体資料を見たことがあるのですが、かなり柔軟にフィルタリングできる模様。出向者としては、なかなか魅力的な広告媒体と言えるでしょう。
その他に、ゴールドカード相当以上のカード保有者に無料で送られてくる会員誌内に展開する広告もあります。例えば富裕層向けのクレジットカードである、ダイナースクラブカードの会員誌は、高級ブランドの時計や宝石、高級車の広告がきらびやかに掲載されているようですよ。めちゃくちゃリッチな雑誌になりますね(^_^)
年会費収入
会員から毎年徴収する年会費も、カード会社の収益の柱の一つです。近年、年会費が高額なクレジットカードが増えてきており、年会費ビジネスの規模が以前よりも大きくなっているように感じます。
例えば、一般カードでも1万円以上するカードすらありますし、ゴールドカードは1万円〜3万円が主流。プラチナカードでは、5万円から数十万円するものもあります。
昔は、年会費が高いクレジットカードは審査が非常に厳しいのが一般的でしたが、最近はさして厳しくないものが大半です。会員数を増やし、その結果年会費収入を増やしたいというカード会社の思惑が見てとれます。今やサービスを年会費で買う時代、と言っても過言ではないかもしれませんね。
三井住友カードや三井住友トラストクラブ(旧シティカード)など、以前は招待制だったプラチナカードが、自分から申し込めるようになっている傾向も、その理由と考えられます。
加盟店はどこから利益を得ているの?
カード会社が利益を得る仕組みは簡単にご理解いただけると思いますが、加盟店の方はどうでしょうか。カード会社に手数料を取られてしまったり、その場ですぐに現金が手に入らなかったりで、良い事など全く無さそうに見えます。
しかし、実は加盟店にとっても、クレジットカードを利用可能にすることにより、目には見えないたくさんのメリットがあるのです。
販売機会損失の回避
消費者の欲しいもの(またはサービス)があった時に、手持ちの現金がなくても購入できるのがクレジットカードのメリットです。
現金が足りずに購入する事ができない場合でも、カードを1枚持ってさえいれば、立て替え払いで購入できてしまいます。しかも、ほとんどのクレジットカードが一括払いの他に、分割払い・リボ払いが選べるので、支出の波を穏やかにする事も可能です。
ボーナス時期まで支払いを待ってもらえるボーナス払いなんてものまで用意されていて、至れり尽くせりです(しかもボーナス一回払いなら手数料無料!)
「消費者が欲しい商品をすぐ買える」という事は、加盟店側からすれば、販売の機会を逃さないという事になります。つまり機会損失を回避する事に繋がり、売り上げもアップするのです。
また、現金を必要としなくても買い物ができるので、気が大きくなり、消費金額が上がる効果もあります。ここでは具体的な数値は避けますが、VISAの加盟店向け資料によれば、多くの実際の調査で証明されています。このこともまた、売り上げアップに一役買っていますね。
お金の管理費の軽減
実は、お金を管理するのは非常に大変なこと。お金の移動等の取り扱いには危険も伴いますので、たくさんの現金を扱う店舗では、警備会社に依頼しなくてはなりません。また、レジに多額の現金を置いておく事は、防犯上の問題もあります。
クレジットカードが使用できれば、レジに多額の現金が存在する可能性も下がります。現金自体のやり取りが少なくなるため、つり銭の受け渡しミスの絶対数も減少、さらにはお金を数えるコストも減少します。また、現金が減れば、従業員の不正もしにくくなります。
つまる所、結局はお金の管理費が浮くというメリットがあるのです。
回転率の向上
一般的な加盟店ではそれほどの恩恵を受けないかもしれませんが、利用者が多い加盟店では、クレジットカードの決済速度の速さが、回転率向上に大きな影響を及ぼします。
例えばスーパーマーケット。小銭を探したり、おつりの受け渡しに手間のかかる現金よりも、クレジットカード利用客の方が圧倒的に早く決済ができます。これが加盟店にとっては大きなメリットとなり、間接的に収益に結びつきます。
また、行列の待ち時間が早くなれば、顧客満足度にも影響しそうですね。待ち時間が早ければ早いほど快適と感じるのは誰もが同じでしょう。
他店との差別化の為
「クレジットカード払いができなければ、そのお店では買わない」という人も、意外な程たくさんいるのがWeb上のアンケート結果で明らかになりました(ソースとなるサイトは失念してしまいました、ゴメンナサイ)。
特にマイルやポイントを貯めている人や、出費をできる限り一本化したい人、クレジットカードを家計簿がわりにしている人、クレジットヒストリーを付けたい方に、その様な考えは多いようです。
そんな私も、基本的にはカード払いできないお店では、必要な時以外は買いません。私の場合は論理的なことではなく、単にカード払いが買い物欲を発散できるから、ということもありますね(気持ちが理解できる方は少ないでしょうけれど(汗))
そういったカード払いメインの人達にも利用してもらえるメリットと同時に、クレジットカードが使えるというだけでも、使えない店と比較して差別化を図れます。今日では、クレジットカードを使える方が当然な時代になってきていますので、使えない事による顧客満足度の低下の方がデメリットと言えるでしょう。(でも、その分価格が安ければいいですけれどね)
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